企業理念とブランドメッセージの違い同じ想いを、どの言葉で伝えるか
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会社の理念はある。それでも、サイトの冒頭に何を掲げればよいか決まらない。ブランドメッセージも必要だと言われたけれど、理念と何が違うのか、別の言葉を増やす意味が分からない。そんな迷いはありませんか。
この記事では、企業理念とブランドメッセージの役割や関係を、本屋の例を交えて解説します。新しいメッセージが必要か、今ある理念に説明を添えれば十分か。自社に必要な言葉を判断する手がかりを紹介します。
企業理念とブランドメッセージは、何が違うのか
Lazottoでは、企業理念を、会社が何のために存在し、どんな未来を実現したいのか、そのために何を大切にするのかを一貫して掲げる言葉として捉えています。事業の選択、顧客への提案、採用、組織づくりまで、会社の活動全体につながるものです。社員に向けて掲げる理念と、顧客に向けて掲げる理念を分けるわけではありません。
一方、ブランドメッセージは、その会社や事業の考え、届ける価値を、ブランドに触れる人へ伝えるための言葉です。理念を短く伝える場合もあれば、理念に基づく事業が、人の暮らしや仕事にどう関わるのかを表す場合もあります。会社が掲げる考えに根差しながら、受け取る人の理解や共感につなげる役割を担います。
| 比較する点 | 企業理念 | ブランドメッセージ |
|---|---|---|
| 中心となる問い | 何のために存在し、どんな未来へ向かうのか | どんな考えや価値を受け取ってほしいのか |
| 担う役割 | 会社の活動全体を通じて掲げる考えを示す | 会社や事業と、受け取る人との関わりを伝える |
| 両者のつながり | メッセージで伝える価値の根拠となる | 理念に根差し、その意味や価値を表す |
この違いは、文章の長さや掲載場所だけで決まるものではありません。理念の一文がそのまま顧客の共感を呼ぶことも、ブランドメッセージが社員に仕事の意味を伝えることもあります。名前から用途を決めるより、今ある言葉が何を伝え、どのような役割を果たしているかを確かめることが大切です。
本屋の例で見る、理念とメッセージのつながり
例えば、地域で本屋を営む会社が、次の理念を掲げているとします。
本との出会いから、自分の世界を広げられる社会をつくる。
この会社にとって、本を売ることは、人が新しい考えや生き方に触れる機会をつくる仕事です。店頭でどんな本を選ぶか、読書会でどんな場をつくるか、学校と何に取り組むか。その一つひとつを、本との出会いが人にもたらすものから考えられます。顧客にも社員にも、会社が目指す未来は共通しています。
その想いを持つ店が、ブランドメッセージとして次の言葉を使う場合はどうでしょうか。
まだ知らない一冊と、次の自分に出会う場所。
こちらは、会社が目指す社会を、店を訪れる人の体験に結び付けた表現です。「自分の世界を広げる」という理念の意味が、「一冊との出会いが、自分に何かをもたらすかもしれない」という期待につながります。二つの言葉は異なりますが、根にある考えは変わっていません。
この関係が成立するには、実際の仕事も言葉を支えている必要があります。例えば、普段は手に取らない本に出会える選書や、他の読者の見方を知る読書会があれば、メッセージに込めた意味を体験できます。言葉から生まれた期待に、店での体験が応える関係です。
本との出会いから、自分の世界を広げられる社会をつくる。
メッセージ
まだ知らない一冊と、次の自分に出会う場所。
新しい本に出会える選書
他の人の見方を知る読書会
言葉から生まれた期待に、店での体験が応える。
別のメッセージを作る前に、何が伝わっていないかを確かめる
理念とブランドメッセージに異なる役割があるとしても、すべての会社が両方を別々に作る必要はありません。理念そのものから会社の目指すことが伝わり、読み手が自分との関わりを感じられるなら、その言葉をサイトの冒頭に掲げる選択もあります。
理念への共感は得られているのに、具体的な仕事が伝わっていない場合は、事業の説明が必要です。先ほどの本屋なら、「地域を題材にした本の選書や、著者・読者と語り合う読書会に取り組んでいます」と添えることで、会社の考えがどんな活動になっているかが見えてきます。印象的な一文をもう一つ加えても、こうした情報の不足は埋まりません。
反対に、何をしている会社かは分かっても、そこで得られる体験や、その仕事を大切にする理由が伝わっていないこともあります。その場合は、事業説明に加え、考えや価値を端的に伝えるメッセージが役立ちます。本屋の例で言えば、扱う本や読書会の紹介だけで終わらず、それらが「自分の世界を広げる機会」になることを伝える言葉です。
判断の出発点は、読み手の理解に何が足りないかです。会社の考えが伝わっていないのか、仕事の内容が分からないのか、自分にどう関わるかを想像できないのか。不足に応じて補うものを選ぶことで、同じ意味の言葉ばかりを増やさずに済みます。
メッセージが決まらないときは、迷いの理由を見る
必要だと思ってメッセージを作り始めても、候補が増えるばかりで決められないことがあります。そのときは、「この案を選ぶと、何が伝わるのか」を説明してみてください。伝えたい意味ははっきりしていて、読み手に届く表現で迷っているなら、言葉の選び方や見せる順番を検討できます。
しかし、案を比べるたびに「そもそも自分たちは何を目指しているのか」という話に戻るなら、文案の比較だけでは決め手が見つかりません。例えば、本屋のメッセージを選ぶ場面で、読書を通じてどんな変化を生みたいのかを説明できなければ、「次の自分に出会う」という言葉が自社にふさわしいかも判断できないはずです。
そこで掘り下げたいのは、なぜその仕事を選び、今も続けているのか、その先に誰のどんな未来を実現したいのかという想いです。Lazottoでは、代表にとって当たり前になっている考えにも問いを向け、想いの根と、歩み・事業・未来への意思の関係を読み解きます。その理解をもとに、会社として掲げる言葉の構造が通っているか、他者が共感し自分との関わりを感じられるかまで検討します。
既存の理念と新しい事業の説明が食い違う場合も、表現だけでつじつまを合わせることはできません。理念の意味を捉え直す必要があるのか、事業の選択が理念から離れているのか、今の理念では会社の目指す姿を表せなくなっているのか。新たなメッセージで覆う前に、食い違いが生まれた理由を確かめる必要があります。
掲げる言葉を、一つの考えとしてつなげる
理念とブランドメッセージを並べて読むときは、意味と仕事のつながりを見てください。同じ単語を使っていても、別々のことを約束している場合があります。言葉を選ぶ際には、次の三点が判断の助けになります。
- 理念から説明できるか。 メッセージで伝える価値が、会社の存在意義や目指す未来につながっているか。
- 実際の仕事が支えているか。 読み手が言葉から期待することと、顧客や社員が経験することに隔たりがないか。
- 理解を深める役割があるか。 理念に加えて掲げることで、会社や事業との関わりがより伝わるか。
本屋の例なら、会社が目指す社会、店で生まれる体験、そのための選書や読書会がつながっています。自社の言葉でも同じように、なぜ掲げるのかを仕事に結び付けて説明できるでしょうか。その関係が伝わるなら、言葉の数を増やす必要はありません。伝わらない部分があるなら、説明を補うのか、メッセージを作るのか、理念の根から考えるのかを選べます。
会社として何を掲げたいのか、その根にある想いから考えたい方は、企業理念・MVVの作り方をご覧ください。
