企業理念を見直すタイミングと進め方変える前に確かめたいこと
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創業時の理念を読み返すと、いまの会社と少しずれている気がする。事業が広がり、これから目指したい姿もはっきりしてきた。それなのに、会社の中心にある言葉だけが、昔のまま取り残されているように感じる。
ただ、違和感があるからといって、理念をすべて変える必要があるとは限りません。受け継ぐべき考えが、今の表現では十分に伝わっていないこともあります。
この記事では、企業理念を見直すきっかけと進め方を、何を残し、何を変えるかという視点から解説します。新しい文案を作り始める前に、自社に必要な見直しの範囲を考えてみましょう。
この記事の内容
見直すタイミングは、会社の変化と言葉のずれから考える
創業から何年たったか、社員が何人に増えたかだけでは、理念を変える理由にはなりません。事業承継や新規事業も、これまでの考えを受け継ぎながら進められる場合があります。
見直しのきっかけになるのは、会社が実現したいことを、今の理念では十分に表せなくなったときです。新しい仕事が理念とどう結び付くのか説明できない。これから向かう未来と、掲げている言葉が噛み合わない。そうした具体的なずれから考えると、単に古く感じるという話の先へ進めます。
| 会社の変化 | 理念について考えたいこと |
|---|---|
| 新しい事業を始めた | その事業も、同じ理念を実現する仕事として説明できるか |
| 事業を引き継いだ | 受け継ぎたい考えと、自分が実現したい未来はどうつながるか |
| 会社の目指す方向を見直した | 今の理念は、その先に実現したい姿まで表しているか |
| 社員から現実との違いを指摘された | 言葉が合わなくなったのか、会社の行動を改める必要があるのか |
採用で伝わらないから採用向けの理念に、広報で使いにくいから社外向けの理念に変える、という考え方は取りません。Lazottoでは、理念は社内外のさまざまな場面を通じて、一貫して掲げられるものだと考えています。
理念そのものと、説明・運用を分ける
「理念が合わない」と感じる理由を掘り下げると、言葉を作り直す問題と、その言葉をどう伝え、実行するかという問題が見えてきます。
| 見直す対象 | 見直しが必要になる状態 | 取り組むこと |
|---|---|---|
| 考え方 | 会社として目指す未来や、存在する意味を捉え直したい | これまでの歩みとこれからの意思を掘り下げ、会社が何を目指すのかを考える |
| 表現 | 大切な考えは続いているが、今の言葉では十分に表せない | 残す意味を明確にし、事業全体を通じて掲げられる言葉にする |
| 説明 | 理念は今も合っているが、その背景や意味が伝わっていない | なぜその言葉を掲げるのか、どんな未来につながるのかを伝える |
| 運用 | 意味に賛同していても、会社の仕組みや行動が伴っていない | 理念に反する対応や、実行を妨げている条件を改める |
理念文を変えないという結論も、見直しの成果です。 例えば、社員が理念に疑問を持つ理由が経営者の行動にあるなら、文案を変えてもその経験は消えません。まず改めるべきことは、言葉とは別の場所にあります。
一方で、説明を重ねるほど理念文との食い違いが増えるなら、説明だけで補おうとせず、考え方や表現まで戻って検討する必要があります。どれか一つに無理に分類するより、何が問題で、どこへ手を入れるのかを明らかにすることが大切です。
事業が変わっても、残すべき意味はある
例えば、紙の地域情報誌を発行してきた会社が、地域の情報を届けるウェブサービスや交流イベントにも事業を広げたとします。理念に「地域の情報を一冊に届ける」と掲げていたら、新しい仕事はその言葉に収まりません。
ここで、紙からウェブへ移ったことだけを理由に理念を変えると、使う媒体の説明に終わってしまいます。考えたいのは、なぜ地域の情報を届けてきたのか、これから地域にどんな変化を生みたいのかです。
もともと大切にしていたのが、近くにいるのに互いを知らなかった人たちが出会うことだったとしたら。地域で何かを始めたい人が、一人で抱えずに協力者と出会える未来を目指しているのだとしたら。情報誌もウェブサービスもイベントも、その未来につながる仕事として捉えられます。
この場合、残したいのは紙という形そのものではなく、人のつながりを生みたいという意思です。その意味を今の言葉が十分に表しているかが、表現を見直す判断の軸になります。
ただし、新しい理念に合わせて、創業時から同じ考えだったことにする必要はありません。当時の意図が分からなければ、資料や関係者の話から確かめる。今になって生まれた意思なら、その変化として伝える。過去を受け継ぐことと、未来を自分の意思で選ぶことは、どちらも欠かせません。
新しい文案を作る前に、残す意味と変える理由を明らかにする
見直しを進めるときは、最初から言葉の候補を並べるより、今の理念のどこで説明が難しくなるかを書き出すところから始められます。先ほどの会社なら、「交流イベントが、情報を一冊に届ける仕事として説明できない」という具体的な違和感です。
これまで大切にしてきたことと、目指す未来をつなぐ
今の言葉を掲げた理由、事業を続けてきた理由、これから実現したいことを掘り下げます。以前と同じか違うかだけでなく、何を受け継ぎ、何を広げたいのかまで捉えると、見直しの根拠が生まれます。
現行の理念を残す案も含めて比べる
新しい文案だけを比べると、変えることが前提になりがちです。現行の言葉に背景の説明を添えた場合と、表現から改めた場合を比べてみてください。新しい案で何が伝わるようになり、反対に何が抜け落ちるのか。その違いを説明できることが、好みだけで選ばないための手掛かりになります。
会社全体を通じて掲げられるかを確かめる
特定の事業だけが理念の外に置かれていないか。採用でも顧客への説明でも、同じ考えが通るか。異なる場面に置いて読むと、文案だけを見ていたときには気付かなかった狭さや矛盾が見えてきます。
読み手がその未来に自分がどう関わるのかを想像できることも大切です。社内で意味が分かるだけで満足せず、背景を知らない人にも届く言葉になっているかを考えます。
なぜ変えるのかを伝えて、次の理念へつなぐ
新しい理念を掲げるときには、完成した言葉に加えて、なぜ見直したのか、何を受け継ぐのか、これから何を実現するのかを伝えます。以前の理念を大切にしてきた人にとっても、会社がどこへ向かうのかを理解するための説明になります。
言い換える前に、会社として掲げる意味を捉え直す。 Lazottoでは、代表の想いを深く掘り下げ、これまでの歩みと未来への意思の関係を分析します。そのうえで、受け継ぐ意味と新たに掲げる意思が、他者に届く言葉として成立するかまで考え、理念・MVVをつくります。