採用メッセージの作り方仕事と未来が伝わる言葉へ

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青果の出荷作業をイメージした、野菜入りのコンテナと計量台

「共に挑戦する仲間を募集しています」。採用ページに置く言葉を書いてみたものの、社名を入れ替えても通じてしまう。事業への想いはあるのに、短くしようとすると、自社で働く理由が文章から抜けてしまうことがあります。

採用メッセージでは、会社が目指すことと、入社する人が担う仕事を結び付けます。短い見出しで関心を持ってもらい、続く本文で、なぜその仕事に人を迎えたいのかを伝える。この記事では、見出しと本文の組み立て方を、一つの会社を例に解説します。

採用メッセージは、会社の未来への関わり方を伝える

採用メッセージは、会社の考えや働く意味を候補者に伝える文章です。短いキャッチコピーを指す場合もありますが、ここでは、その一文を支える本文まで含めて捉えます。印象的な言葉を読んだ後に、何をする仕事なのか、自分はどう関われるのかが分かることを重視するためです。

求人条件が勤務時間や給与などを伝えるのに対し、採用メッセージは「なぜ、この会社でこの仕事をするのか」に答えます。どちらかで代わりが利くものではありません。想いに惹かれても、仕事や条件が合わなければ応募は判断できませんし、条件が分かっても、その会社を選ぶ理由が残ることがあります。

また、採用のために会社の理念を変える必要はありません。会社として目指す未来はそのままに、その未来へ働く人がどう関わるかを説明します。営業と開発で仕事の説明が違っても、目指す会社の姿まで別になるわけではありません。

最初に、呼びかけの後に続く答えを書く

いきなり短いコピーから書き始めると、「挑戦」「成長」「未来」といった大きな言葉に頼りやすくなります。先に書きたいのは、その言葉を読んだ候補者から「具体的には、どんな仕事ですか」と聞かれたときの答えです。

会社が変えたいことに対して、募集する仕事は何を担うのか。その仕事を通して、どんな変化を実現したいのか。まずは短さを求めず、説明できる文章にします。まだ自社で働く価値が言い切れない場合は、表現を選ぶ前に、その価値を深める必要があります。そこは採用ブランディングの進め方で詳しく紹介しています。

例えば、青果の卸売会社が、産地の工夫を小売店の売り場まで伝えたいと考えているとします。その営業職を募集する文章なら、次のような内容が出発点になります。

生産者が収穫の時期や育て方に工夫を重ねても、その違いが買う人に届かないことがあります。私たちは、野菜を納品するときに、旬や食べ方、保存方法も小売店へ伝えています。営業の仕事は、仕入れの相談を受け、店の客層や売り場に合う提案をすること。産地の工夫が買う人の選ぶ理由になるように、店の担当者と一緒に伝え方を考えます。

この説明には、会社の問題意識と、営業が日々向き合う仕事のつながりがあります。ここから、候補者に最初に受け取ってほしい意味を見出しに取り出します。

見出しには、その会社で担う仕事が見える言葉を置く

先ほどの会社なら、「食の未来に挑戦しよう」だけでは、何への挑戦かが読み取れません。生産技術を開発する会社にも、飲食店を経営する会社にも当てはまります。仕事内容に近づけると、例えば次のように書けます。

野菜を届ける。そのおいしさが伝わる売り場まで考える。

ここでは「届ける」と「売り場まで考える」を並べ、卸売の仕事でどこまで関わりたいかを示しています。候補者が、その役割に関心を持つきっかけになる一文です。「仲間募集」という呼びかけを加える前に、仲間として担うことを伝えています。

もちろん、短い表現だけで会社のすべては説明できません。「おいしさを伝える」とは何をすることか、売り場の決定権まで持つのか、といった疑問は残ります。その答えを本文で補うことが前提です。実際の担当範囲より広い仕事を想像させていないかも、一文と本文を合わせて確かめます。

見出しの例 読み手に伝わること・残る疑問
共に挑戦する仲間を募集しています募集の意思は分かるが、何に関わる仕事かは分からない
産地の工夫を、買う人へ伝えたい会社の目指すことは見えるが、募集する人の役割はまだ分からない
野菜を届ける。
そのおいしさが伝わる売り場まで考える。
営業の関わり方が見える。具体的な提案内容や担当範囲を本文で確かめたくなる

最後の表現だけが正解ということではありません。全職種に向けた入口なら、会社の目指すことを見出しに置き、その下で職種を案内する構成も選べます。どの場所で、誰に向けて使う一文なのかによって、最初に伝える内容を決めます。

本文で、仕事を続ける理由と目指す未来をつなぐ

見出しを置いたら、本文を「私たちは挑戦し続けます」と同じ決意の繰り返しにしないことが大切です。読者が続きを読んだ分だけ、会社への理解が深まる文章にします。

青果の卸売会社の例なら、まず産地の工夫が伝わっていないという問題を示し、その問題に営業がどう関わるかを説明できます。その先に置きたいのは、会社が実現したい未来です。納品の方法だけで終わらず、なぜその関わりを大切にし、これから何を変えたいのかまで伝えます。

見出しで伝えた意味を、本文で深める
見出し野菜を届ける。
そのおいしさが伝わる売り場まで考える。
背景

産地の工夫が、買う人に届かないことがある。

なぜ、この仕事が必要なのか
仕事

旬や食べ方を伝え、店の売り場に合う提案をする。

入社する人は何を担うのか
未来

産地の工夫が、買う人に伝わる流通をつくりたい。

その仕事で何を実現したいのか

例えば、本文の最後は次のようにつなげられます。

私たちがつくりたいのは、産地の工夫が、買う人に伝わる流通です。価格や規格だけでは伝えきれない違いを、店の担当者と一緒に届けたい。生産者の話を聞き、それぞれの店でどう伝えられるかを考える営業を迎えたいと思っています。

ここでは、会社の未来と、迎える人に託したい仕事がつながっています。「一緒に未来をつくりましょう」と誘う場合も、その未来の中で自分が何を担うのかが分かれば、候補者は自分の経験や関心と照らし合わせられます。

見出し、背景、仕事、未来という順番は一例です。創業時の問題意識を先に語る方が理解しやすい会社もあります。ただし、順番を変えても、会社の願いから候補者の仕事へ話がつながっているかは確かめます。印象のよい一文を集めるだけでは、その関係は生まれません。

誰の言葉なのかによって、語り方を選ぶ

会社として掲載する採用メッセージなら、「私たち」が何を目指し、どんな仕事を担う人を迎えたいかを語ります。代表名で掲載するなら、なぜ自分がその事業に取り組むのか、これから仲間と何を実現したいのかまで、その人の意思が読める文章にします。

例えば「生産者の工夫が伝わらない売り場を見て、この仕事を始めました」と書けるのは、実際にその経験がある場合です。代表らしく見せるために、創業のきっかけや印象的なエピソードを後からつくることはできません。会社の説明と個人の経験が混ざっていないかを確認します。

文体も、丁寧語に揃えるだけでは十分ではありません。代表が普段は使わない壮大な言葉ばかりになっていないか、誰に向けて話しているのかが途中で変わっていないか。文章を声に出して読み、その人や会社の意思として無理なく受け取れるかを見ます。

候補者が思い描いた仕事と、実際の仕事を照らし合わせる

原稿ができたら、言葉の印象だけでなく、読んだ人がどんな仕事を思い描くかを確かめます。「良い文章ですね」という感想だけでは、伝わってほしい意味が届いたかは分かりません。

青果の卸売会社の例なら、売り場の提案も営業の仕事なのに、配送だけを担当する募集だと受け取られていないか。反対に、小売店への提案が中心なのに、店舗全体の運営まで任されると読まれていないか。このずれがあれば、見出しを強めるより、仕事の説明を具体的にする方が役立ちます。

未来についても同様です。これから始めたい取り組みを、既に全員が経験できる仕事として書かないようにします。「産地の話を売り場へ届ける仕組みを、これからつくりたい」のであれば、その段階と、迎える人に期待する役割を伝えます。実現していないことも、会社が何に取り組む意思を持っているかとして語れます。

掲載時は、メッセージの近くから仕事内容や募集条件へ進めるようにします。関心を持った人が、具体的な仕事を探し直さずに済むためです。採用メッセージは応募を決断させる文章のすべてではなく、会社と仕事を知る入口を担います。

その会社で働く理由が、言葉にならないときに

文章の形はできても、「なぜそこまで関わりたいのか」「その先に何を実現したいのか」がうまく説明できないことがあります。その部分は、言い回しを変えるだけでは埋まりません。代表が事業を続ける理由や、当たり前としてきた考えに立ち返り、本人もまだ言い切れていない意味まで掘り下げる必要があります。

Lazottoは、想いの根と未来への意思を深く読み解き、他者に届く言葉として成立させることを大切にしています。採用メッセージでも、会社の意思が通っているかと、読む人が自分の仕事として受け取れるかの両方から文章をつくります。

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